職場の室内温度がありえない。その2
遠のいていく意識の中、私は思った。
これが本当に大企業の職場環境なんだろうか・・・。
昼前に30℃を越える室内。明らかに室外の方が涼しい。5℃以上差がある。
フロアの各所に設置されていて、自由に操作できる空調機器のつまみを『Max』に
ひねると容赦なく流れ出す熱風。窓を開けても無風。頼りは先人が造り出した団扇1本。
ただ団扇を動かしても心地良い風が来るとも限らない。期待してはいけない。
実際ぬるい風しか当たらない。生き地獄。
今や室内温度は31.3℃。季節は梅雨にすら入っていないのにナンタルチア。
加齢臭を発する人がいないだけまだマシと言うものなのか。
開け放たれた窓のブラインドは微動だにせず、室内の人間の動きも緩慢なものになってきた。
フロアの至るところから上がる『暑い』という言葉にすら、もう覇気はない。この室温に色々と削られている。
『いやー、暑いですね!』と明るく振る舞ってくる外部の人間が恨めしい。一週間この環境にいてみろ。
発言はそれからだ。
電話応対も怪しくなってくる。取り敢えず不機嫌な声で出てはいけない。
室内が暑いというだけで気分を害すようなことはしてはいけない。電話相手は何も悪くない。
精一杯の明るい声で応対する。発言噛むなんてのは最早当たり前だ。
聞き間違いも増えてくる。思わずつっこみそうになる。電話相手は何も悪くない。
むしろ何も間違えてない。間違えているのはこの室内温度だ。今は夏じゃない。
踏むべき段階を踏め。いきなりでは心の準備も衣替えも間に合わない。
実際間に合ってない。どうしろと。
自販機で買ってきたお茶をコップに注ぎ、氷を入れる。
他の人も頻繁に冷凍庫を開けるようになった。明らかに昨日より氷が消費される量が増えている。
だが氷もその中に長く留まってはくれない。儚すぎる。お前は白昼夢か。
お茶がぬるくなるスピードも異様。冷たいものばかり飲んでたらお腹壊すぞっ☆ミ 的なお節介はいらない。
ただ冷たくあってくれ。それだけが私が今ここに生きていられる条件なんだ。
時計は着実に時を刻み進んでいる。日も傾いてきている。だが一向に室内温度は下がらない。
一体どういうことなんだ。これは会社からの嫌がらせなのか。遠回しに何か訴えているのか。
だが自分は会社のデメリットになるようなことはしていない。していたらここにいない。
それともビルメンテナンスを請け負っている会社の全力の嫌がらせなのだろうか。
30℃を越えるとこういう馬鹿な考えしか浮かばない。馬鹿な脳みそが、更に痛いことになる。
たたでさえ暑さに弱い自分。兎に角、暑さに耐えながらひたすら定時を待ち望むだけ。
心頭滅却なんて出来る精神力はない。削られすぎた。
周りの人間が唐突に歌い出す。遂に狂い始めた。
いや、もしかしたらこれが一番楽なのかも知れない。
定時まであと1時間と少し。大丈夫だ。まだやれる。
2008/05/01
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